今回は東大卒、年商100億円企業グループのオーナーである金森重樹さんが書かれた「借金の底なし沼で知ったお金の味~25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記」を深ぼっていきます。
「東大卒のエリートなんて、自分とは関係ない」そう思った方もいるかもしれません。しかし、実は著者である金森さんご自身も、25歳の時にはフリーターで、なんと5000万円以上の借金を抱え、最終的には利息と延滞金で1億2000万円にまで膨れ上がったという衝撃の過去をお持ちなのです。
一体、彼はどのようにして絶望の淵から這い上がり、億万長者へと転身できたのでしょうか?この本は、「どんなに最悪な状況からでも、人は復活できる」という、希望に満ちたメッセージを私たちに教えてくれます。今回の記事では、この書籍から学べる、お金持ちになるための実践的な教訓を余すところなくご紹介していきます。
借金1億2千万円のフリーターが億万長者へ!金森重樹さんの「お金の味」から学ぶ成功法則
金森さんが教えてくれる成功法則は、どれも常識を覆すような、しかし非常に論理的で強力なものです。彼の壮絶な体験から導き出された9つの教訓を、一つずつ見ていきましょう。
絶望から這い上がるための9つの教訓
- 環境があなたの思考を形作る
「水は方円の器に従う」ということわざがあるように、私たちの考え方は周囲の人や環境に大きく影響されます。例えば、「どうせ無理」「お金稼ぎは汚いこと」と考える人々に囲まれていれば、あなた自身も同じような考え方に染まってしまうのです。さらに恐ろしいのは、その環境の中にいる限り、その考え方のおかしさに気づけないという点です。まるで魚が水の中で水の存在に気づかないのと同じように。 特に子供の頃は、親や学校の先生、友達といった限られた人間関係から多大な影響を受けます。しかし、もしあなたがお金持ちになりたいのであれば、ビジネスやお金、仕事に関して、親や先生の言うことを聞く必要はありません。むしろ、聞いてはいけないとすら言えるでしょう。なぜなら、ほとんどの親や先生、友人たちはお金持ちではないからです。彼らの思考は20年ほど前の常識で作られており、現代社会で通用しないことも多いのです。ホリエモンさんも「親に従い成功した人を僕は知らない」と語っています。人生を変えたければ、どんな人と接するのかをしっかりと決めることが何よりも重要だと金森さんは教えてくれます。 - 学校では教えてくれない「お金の勉強」の重要性
学生時代、「こんな勉強をして将来何の役に立つのだろう?」と感じたことはありませんか?サイン、コサイン、タンジェントのように、社会に出てから全く役に立たない知識を学ぶ一方で、税金や投資、お金について学ぶ機会はほとんどありません。 その結果、多くの人はお金に関して無知なまま社会に放り出されます。リボ払いをしたり、返す当てのないお金を借りたり、不安を煽られて生命保険に入ったり、見栄のために貯めたお金で高級車を買ったり。こうしてお金が全くたまらなくなり、貧乏への道を突き進んでしまうのです。金森さん自身も、お金に無知なフリーターだったために、多額の借金を背負う羽目になりました。 お金持ちがベンツやポルシェに乗っているのは、汗水垂らして貯めたお金で頑張って買ったわけではありません。彼らは節税目的で買っているのです。車は節税目的で買うくらいでちょうどいいと金森さんは言います。だからこそ、私たちは早めにお金の勉強をしておくべきなのです。 - 真の富裕層は「地味」に生きる?
フリーターだった金森さんは、ある日、本物の大金持ちであるKさんのもとでアルバイトをすることになります。Kさんは上場会社の社長で、学校法人のオーナー、都内と埼玉に複数のマンションやビルを持つ人物でした。 金森さんはKさんと過ごす中で、今まで接してきた人とは全く違う「お金持ちの考え方や姿勢」を自然と身につけていったと言います。驚くべきことに、Kさんは金森さんが思い描いていた富裕層のイメージとはかけ離れていました。いつもトレーナー姿で、冠婚葬祭以外ではスーツを着ず、寒い時にはダウンジャケットを着るなど、高級な服を着ない非常に地味な見た目だったのです。車は国産車、時計も国産品でした。 さらにKさんは、年中無休で毎朝3時か4時に起き、朝6時から英語の関連書類の段取りをし、9時には毎日おじやを食べてどこかへ出かけるという生活を送っていました。金森さんが後に会った富裕層の人々も、同様に質素な人が多かったそうです。 なぜ彼らは質素なのでしょうか?それは、お金持ちが「お金を使うことよりも、むしろ富を蓄積することから満足感を得る」からです。彼らは資産を増やすのが好きで、無駄遣いをするとモヤモヤするのだといいます。「服やブランド、家、車などで他人よりも良いものが欲しいという気持ち自体が、自分を貧乏に導く」と金森さんは指摘します。服装などはユニクロで十分なのです。 - 「無知」こそが最大の罪である
ソクラテスの言葉にもあるように、「無知は罪」です。金森さんが借金地獄に落ちた経緯は、まさにこの言葉を体現しています。上京初日に服の押し売りにあって80万円分も買ってしまったり、パチンコにはまったり。これは、お金に関する知識がなかったために、無防備な状態で社会に出てしまった結果でした。 そして、コツコツ貯めた1150万円の全財産を、先物取引の投資話に全て投入してしまいます。投資のプロと名乗る相手の「私を信じてください。間違いなく儲かります」という言葉を鵜呑みにしてしまったのです。しかし、数ヶ月でそのお金は一気に溶けてなくなりました。 人は知らないことに遭遇した時、自分で理解しようと努力するか、理解することを放棄して相手に委ねるかの2つの方法をとります。美容師さんに髪型をお任せするならいいのですが、お金に関しては絶対に他人任せにしてはいけません。どれだけ儲かると言われても、自分で勉強し、理屈を理解するまでは投資してはいけないのです。他人に丸投げする行為は、自分の運命のハンドルから手を離した状態だと言えるでしょう。 - 無知はさらなる泥沼を招く
全財産を失った金森さんは、昼間はフリーターで稼いだ少ないお金でパチンコを打ち、夜は銭湯の帰りにコンビニで100円の酒を飲みながら愚痴を漏らす日々を送ります 。そんな地獄の中で、再び投資家を名乗るプロから電話がかかってきます 。「1000万円借りて先物取引をしませんか?」という悪魔の誘いです 。 金森さんはこの最悪な誘いに乗ってしまいます 。なぜなら、すでに1150万円を損している彼にとって、さらに1000万円を失うことへの心理的ダメージが低かったのです 。そして「この1000万円で成功すれば、今までの悪夢が帳消しになる」という言葉に誘われ、人に借りたお金で投資をするという、底なし沼に足を踏み入れてしまったのです 。 結果は案の定、1ヶ月半後には借りた1000万円もゼロになりました 。そしてまたお金を借りて投資で溶かす、という悪循環を繰り返した結果、借金はあっという間に5000万円にまで膨れ上がります 。その金利は毎年600万円、さらに返せないため延滞金が毎年960万円ずつ増えていきました 。借金は膨らみ続け、ついには1億円を超えるのです 。 当時の法律(平成17年の破産法改正前)では、投機で作った借金は自己破産できませんでした 。金森さんは「死ぬか、お金を返すか」の二択を突きつけられ、普通の生活に戻れない、結婚や家を買うことも生涯ないだろうと絶望します 。何を食べても美味しいと感じなくなり、面白いものを見ても面白いと感じなくなったそうです 。 - 絶体絶命のピンチでも「寝てしまえば」なんとかなる
会社や自宅、さらには実家までヤクザが取り立てに来るようになり 、金森さんはついに実家にも帰れなくなってしまいます 。疲れ果て、もう「諦めがついた」という境地に達した金森さん。しかし、それは自殺をするという意味ではありませんでした 。彼は、焼肉を腹いっぱい食べてビールを飲み、そしてぐっすり寝ることにしたのです 。 そして翌朝、冷静に物事を考え直しました。この方法のおかげで、普通の人なら精神的に参ってしまうような状況でも、金森さんは平然としていられるようになったと言います 。「やばい時は寝てしまえ。そうすればなんとかなる」と金森さんは語ります 。人は疲れていたり、極限の状態だと愚かなことを考えてしまいがちです。ピンチの時に思いつくことは、大抵間違っていることが多いからです 。そんな時でも、睡眠は極限まで追い詰められた彼の心を守る盾となったのです 。 そして彼は、他人任せはもうやめて、自分のやり方で理詰めで億万長者になろうと決心します 。 - 知らないことを貪欲に学ぶ姿勢
地獄のような生活の中でも、しっかり寝て冷静さを保った金森さんは、フリーターを辞めてある不動産会社に就職します 。月々の給料は30万円前後で、借金の増加ペースを考えると、普通に働いていては返済できるはずもありません 。 しかし、彼の狙いは別のところにありました。最初から会社員を続けるつもりもなく、給料を貯めて返そうなどとは思っていなかったのです 。彼の目的は、とにかく不動産会社からノウハウを学ぶことでした 。特に彼は、マーケティングのスキルを徹底的に学びました 。どうやって不動産のような高額なものを効率的に売っているのか、その技術を身につけようとしたのです 。 当時はインターネットがない時代だったので、情報は現地で調達するしかありませんでした 。金森さんは調べていく中で、商品を売るためには「リスト(見込み客の連絡先や名簿)」を取ることが重要だと気がつきます 。例えば、一度プロテインを買った人に筋トレグッズを売り込んだり、子供を妊娠している家庭に新築マンションを営業したりする方が売れやすい、といった具合です 。他にも広告の出し方や言葉の選び方など、とにかくマーケティングスキルを貪欲に学んでいきました 。 さらに、仕事終わりには毎晩渋谷駅前のマクドナルドで閉店まで簿記の勉強に没頭します 。簿記は会社の会計に使われ、会社のお金の流れを数字で見ることで理解できるようになります 。ぼんやりしていたら借金が増えるだけ、家に帰ってもヤクザがいるという状況が、彼を休むことなく勉強へと駆り立てたのでしょう 。この経験から、金森さんは「お金持ちになる人は、独立するために会社からノウハウを学ぶ人が多い」と語っています 。 - 諦めずに考え続ければ道は開ける
金森さんはいつしか、どんなものでも売る「マーケティングスキル」を身につけていきました 。そして寝ながら考え続けた結果、ある答えにたどり着きます。それは、「200万円を投入して300万円で売れるものを見つければ、100万円儲けることができる。自分にはそれができる。だけど元手がない」ということでした 。 しかし、ここで彼の思考は好転換します。すでに5000万円以上の借金があるのだから、それが5200万円になったところで、返せないのは一緒。別に取られて困るものも何もない 。「だったら、借金をして勝負をかけてみよう」と決意したのです 。これは一般人が真似すべき手ではありませんが、逆立ちしても返せない借金を背負った場合にのみ有効な「邪道」とも言える手段でした 。地獄にいるなら、これ以上借金が増えても状況は変わらない。コツコツ働くよりも、どんどん借金をして一発逆転を狙わないと損だと考えたのです 。 このように、人間の頭は勉強し、一つのことを考え続けていると、ある日「覚醒」するのだと金森さんは言います 。彼はまず借金をして広告を打ち、見込み客のリストを作りました 。そのリストに対して商品を売り込み、売れたお金で借金を返済します 。そして、もっと大きな借金をして広告を打ち、さらに大きなリストを作り、商品を売り込む、という方法を繰り返しました 。この嘘のような方法で、彼はお金をどんどん稼いでいったのです 。 - 困難が人を強くする、そして億万長者へ
そして、35歳の時、金森さんは1億2000万円もの借金を見事に完済します 。その後は、身につけたマーケティングスキルを活かして、ホテルや不動産、歯科医院などを経営し、億万長者へと駆け上がっていきました 。 金森さんは当時のことを振り返り、こう語っています。「結局、僕は多額の借金を背負わなければ、「自分の人生はいつか誰かがなんとかしてくれるだろう」という当事者意識のない傍観者のままで終わっていたのではないか」 。田舎で育った彼は、国や医者、誰かがなんとかしてくれると思っていたかもしれません 。しかし、地獄の底まで落ちて誰にも助けてもらえないと悟った時に、初めて「自分の人生は自分の力でなんとかするしかない」と本当の意味で気づいたのです 。 「谷深ければ山高し」という言葉があるように、一度深い絶望を味わったからこそ、人はすごい知識やスキルを身につけて蘇ることができるのだと金森さんは教えてくれます 。だからこそ、挑戦して失敗し、絶望しても諦めないこと。本当に辛い時は寝て、また考え続けること。そうすれば、いつか必ず何かしらの方法が思い浮かぶだろう、と彼は私たちに力強く語りかけています 。
まとめ
金森重樹さんの「借金の底なし沼で知ったお金の味」は、単なる成功談ではありません。人生のどん底から這い上がった著者の経験を通して、「人はどんな絶望的な状況からでも復活できる」という強烈なメッセージを私たちに投げかけます。
彼が教えてくれた億万長者への道は、以下の9つの教訓に集約されます。
- 環境の影響を意識し、付き合う相手を自分で選ぶ。
- 学校の勉強以上に、税金や投資など「お金の勉強」を徹底する。
- 富を蓄積することに喜びを感じ、見栄を張らず質素に生きる。
- お金に関しては他人に任せず、自ら学び「無知」をなくす。
- どんな困難な状況でも、休息(特に睡眠)をとって冷静さを保つ 。
- 独立を目指し、会社からノウハウやスキルを貪欲に学ぶ 。
- 諦めずに考え続け、自分なりの解決策を見つける 。
- 困難を乗り越えることで、人は強く成長する 。
- 人生のどこかで深い絶望を味わうことが、偉大な成功につながる。
感想
この本を読んで、まず衝撃を受けたのは、東大卒のエリートである金森さんが、私たち一般人が想像を絶するほどの借金地獄を経験されていたという事実です。そして、その地獄から「自分の人生は自分でなんとかするしかない」と覚悟を決め、泥臭く、しかし非常に論理的に行動し、億万長者へと上り詰めた過程には、ただただ感銘を受けました。
特に印象的だったのは、「無知は罪である」というソクラテスの言葉を引用し、お金に関して無知であることの危険性を繰り返し強調している点です。学校では教えてくれないお金の知識の重要性をこれほどまでに説かれると、まさに「ハッとさせられる」思いでした。また、見栄を張らず「質素に生きる」という富裕層のライフスタイルも、一般的なイメージとのギャップがあり、非常に興味深かったです。
そして何より、絶望的な状況に陥った時に「寝てしまえばなんとかなる」というアドバイスには、現実的な苦しみを味わった人にしか語れない重みを感じました 。困難を乗り越えることこそが人を強くし、大きな成功へと導くというメッセージは、失敗や挫折を恐れることなく、前向きに挑戦し続ける勇気を与えてくれます 。この一冊は、お金持ちになるための具体的な行動指針だけでなく、人生における「当事者意識」と「諦めない精神」がいかに重要かを教えてくれる、まさに「人生の教科書」だと感じました。