今回はソニーの元経営者 である平井和夫さんの著書「仕事を人生の目的にするな」について、その要約と私の感想をブログ記事としてお届けします。
皆さんは、今の生き方に「後悔はない」と自信を持って言えるでしょうか? 昔は「結婚して安定した仕事に就くことが幸せ」という画一的な考え方が一般的でしたが、今は働き方も生き方も多様化し、たくさんの選択肢があるからこそ、何を選べばいいのか迷ってしまう…という方も多いのではないでしょうか。
そんな「正解が分からない時代」を生きる私たちに、ソニーの元経営者である平井一夫さんの著書「仕事を人生の目的にするな」が、後悔の少ない人生を送るためのヒントを与えてくれます。
「社長になるような人でも仕事より趣味を大事にしているのか?」と驚くかもしれませんが、どん底だったソニーを立て直した平井さんから、先の見えない時代をどう生きるのか、今日一緒に学んでいきましょう!
「自分軸」で生きる!後悔しない人生の送り方
時代は変わった!選択肢が増えたからこそ「自分軸」が重要
現代はAIの進化も目覚ましく、副業やフリーランスといった働き方、結婚や子育てに対する考え方も多様化しています。選択肢が増えるのは良いことですが、その反面、「一つの正解」と呼べる生き方が存在しないため、私たちは何を選べば良いか迷いやすくなっています。
著者は、このような時代だからこそ、「自分が何を大事にしたいのかを知り、自分軸で生きていくこと」が非常に重要だと述べています。
平井さんご自身も、新人の頃から「やるべきことを終えたら定時で帰る」というスタンスを貫いていたそうです。なぜなら、会社に残って働き続けることよりも、家族と過ごしたり、旅行を楽しんだり、好きな車を買ったりと、プライベートを充実させることの方が、仕事よりも優先順位が高かったからだといいます。
人生で一番大切なこと!「優先順位」の把握と見直し
限られた時間を使って後悔しない自分らしい人生を送るためには、自分の優先順位に従って生きることが何よりも大切です。著者は、この「優先順位を立てること」こそが人生において一番大事なことだと指摘しています。
時間は有限です。優先順位をつけずに漫然と行動していると、あっという間に時間切れになってしまうでしょう。
もし皆さんの優先順位の1位が筋トレなら、仕事よりも筋トレを優先すべきですし、筋トレがしやすい自由の効く仕事に変えることを検討してみるのも良いかもしれません。
「そんなの当たり前では?」と思うかもしれませんが、この「当たり前」が意外とできていない人が多いのです。多くの人は優先順位があるものの、それが「ふわっとしている」ことが多いと著者は指摘します。
また、この優先順位は常に変動するものです。例えば、入社時は仕事の優先順位が高くても、数年後には趣味の方が高くなったり、子供が生まれてからは子供との時間が優先になったりすることもあります。
だからこそ、常に「今の自分の優先順位はどうなっているのか」を自問自答し、優先順位の高いものから時間を使うように心がけることが大切です。
「仕事」は人生の目的ではない!その理由と付き合い方
仕事は「絵の具の一色」にすぎない
優先順位の1位に仕事を持ってくる人もいるかもしれませんが、著者はそれはやめておいた方がいいと警鐘を鳴らしています。
なぜなら、仕事はあくまで自分の人生を形作る要素の一つに過ぎないからです。例えるなら、仕事は「絵の具の一色」です。その一色だけで人生というキャンバスを全て塗りつぶしてしまうよりも、家族や趣味、友人、恋愛、遊びなど、様々な色を足していった方が、人生は遥かに面白みがあるというわけです。
もし仕事が全てになってしまうと、会社やポジションにしがみつきたくなったり、定年退職した途端に仕事以外に何もやることがなく、自分の人生を見失ってしまう危険性もあります。亡くなる時に「会社であと2時間働きたかった」という人はいないでしょう。
会社の「取引相手」として割り切る
私たちは自分の人生を充実させ、幸せに生きるために働いています。著者は、会社を「時間を捧げる雇用契約取引相手」だと考えているそうです。だからこそ、給料分くらいは稼ぐつもりで一生懸命働き、会社に貢献したら、それ以上会社に差し出す必要はなく、さっさと退社して自分の好きなことに時間を使った方が良いと述べています。
ソニーの元社長がこの考えを提唱しているのは、私たちにとって非常に心強いメッセージではないでしょうか。
あなたの「本当に大切なこと」を見つける方法
「自分の優先順位がいまいち分からない…」という方もいるかもしれませんね。そんな時は、今あなたが時間を使っている仕事やゲーム、筋トレ、家族との時間、健康、美容などが「失われた状態」や「叶わない状態」を想像してみてください。
もしこれで「すごく困る」「苦しい」「悲しい」と感じたなら、それはあなたにとって優先順位が高いということ。逆に「別に気にならないかも」と思うのなら、実はそれほど自分にとって大事ではないということになります。
例えば、「ゲームをしたりサウナに入ること」よりも「友達と会うこと」や「ゲームの配信を見る」ことを優先した方が、後悔の少ない人生を送れるかもしれません。
結婚についても、「このまま結婚できずに40歳の同居独身孤独おじさんになった自分を想像するとちょっと苦しいかも…」と感じるなら、結婚の優先順位がそこそこ高い、ということになりますね。
このようにして優先順位を明確にしたら、あとは勇気を持って行動に移すことが大切です。一日一日の積み重ねが、将来の自分を作っていくのですから。
周りに流されない!「自分で考えて決める」強さ
一番良くないのは、優先順位をつけずに「周りに流される」ことだと著者は言います。流されるままに生きて、気づいたら50歳、あっという間に60歳。そして定年を迎えた時に「あれ?自分の人生、何だったのだろう?」なんて思いたくないですよね。
先輩や社長から「仕事を最優先すべきだ」「正社員になるべきだ」と言われたり、親から「結婚するべきだ」と言われたり、SNSや経済評論家から「NISAはやめるべきだ」「インデックス投資はやめるべきだ」と言われたとしても、最終的には「自分で考えて決めて、自分で責任を取る生き方」の方が、後悔が少ないと著者は指摘しています。
どうせ正解が分からないのであれば、自分で考えて決めた方が良いのです。それに、周りに流されて選択すると、うまくいかなかった時に誰かの責任にしたくなるものですが、自分で決めて失敗すれば、それは自分の責任。ものすごく痛い経験ですが、それこそが学びになるのです。
仕事と上手に付き合うための3つの秘訣
「仕事の優先順位が低くても、お金のために働かないといけない…」という方も多いでしょう。ここでは、そんな状況でも仕事とうまく向き合っていく方法を3つご紹介します。
1. 代えの効かない「専門性」を磨く
学生の頃はみんなと同じことを学び、同じテストで競い合っていましたが、社会人になったら「他の人ができないような専門性を高めて、自分にしかできないことを増やしていくこと」が重要です。そうすることで、給料も高くなり、社内で必要とされ、仕事が楽しくなりやすいのです。
「会社はあくまで時間を捧げる雇用契約取引相手」と述べましたが、取引相手である会社からすると、代えの効かない人材は貴重です。辞められると困るので、待遇も良くなりがちでしょう。
平井さん自身も、ソニー入社時に「海外ホーム(企業が海外でビジネスを行う際の契約などを取り扱うシビアな仕事)」という専門知識を深めることで、社内で「海外ホームのことなら平井さんに聞けば大丈夫」と頼られる存在になり、仕事へのモチベーションをさらに高めていったそうです。
2. 仕事以外の「新たな挑戦・体験」でリフレッシュ
仕事は基本的に同じことの繰り返しなので、だんだんマンネリ化して「つまらないな」と感じる時が誰にでもあるものです。
著者は、マンネリを感じたら、仕事の頑張り具合は変えずに、仕事以外の時間で「新たな挑戦や体験」をしてリフレッシュさせるのが良いと提案しています。例えば、旅行に行ってみる、スポーツやライブに挑戦する、新しい趣味を始める、あえてバイクで出勤してみるなど、何でも良いのです。仕事だけではなかなかリフレッシュが難しいからこそ、休日からの新しい刺激が大切なのです。
3. いざという時の「転職」という切り札を持つ
「いつでも転職できる状態にしておく」ことも、うまく仕事と付き合う上で重要です。いつでも転職できる状態であれば、今の会社がダメでも気持ちに余裕が生まれますし、いざという時に困らずに済みます。
もし「ここしか居場所がない」と会社に依存している状態だと、会社の言いなりになってしまったり、嫌なことも断れなくなってしまうでしょう。下請け企業が取引先が一つしかないと買い叩かれるのと似ていますね。
そうならないためにも、専門性を高めて「自分をいつでも転職できる状態」にしておくのです。もちろん、バンバン転職した方が良いというわけではありません。会社はお金と時間をかけて自分を採用し育ててくれているわけですから、できるだけその恩に報いるために、しばらくは今の場所で頑張ってみる意識が大事です。転職はあくまで最終手段として、その「切り札」を持っておくことが大切だということです。
心穏やかに生きるための「コントロールできること」に集中
健全なメンタルを維持する上で、著者が常に大事にしていることがあります。それは「自分でコントロールできないものを軽く見る」ということです。哲学者エピクテトスも同じことを言っていましたね。
具体的に、自分でコントロールできないものとは、結果、過去、天気、身長、老化、病気、死、ニュース、事故、他人などです。これらはどれだけ悩んでもどうしようもありません。
その代わりに、自分でコントロールできる「自分の行動」「自分の取り組み方」「自分の選択や決断」「考え方」に集中した方が良いのです。実際に著者は、トラブルが起こった時も騒がずに「自分でコントロールできることは対策を、できないなら別のプランへ」と即座に思考できる人ほど成果を出せると述べています。
もちろん、人間ですから完全に悩まない人はいません。それでも、できるだけ自分でコントロールできないことは軽く見て、自分でコントロールできる小さなことに励むように努力してみる。まさに「人事を尽くして天命を待つ」という言葉のように、結果よりも今の自分にできることに目を向けてやるだけやってみると良いでしょう。
まとめ
後悔の少ない人生を送るためには、以下の点が重要です。
- 生き方や働き方が多様化した現代において、「自分は何をしたいのか」を自問自答し、「自分軸」で生きていくことが大事。
- 「優先順位」をつけて、大事なことから順番に時間を使っていくことが不可欠。
- ただし、仕事が人生の全てにならないように注意すること。仕事はいつか引退するものであり、人生は遊びや家族、趣味など、たくさんの要素でできているから。
- もし優先順位が分からない場合は、それが「失われた状態」や「叶わない状態」を想像してみる。苦しいと感じるなら優先順位が高い、気にならないならそれほど大事ではない、と判断できる。
- 一番良くないのは、優先順位をつけずに周りに流されて選択すること。
- うまく会社や仕事と付き合っていくためには:
- 専門性を磨き、代えの効かない人材になること。
- 仕事は繰り返しの連続なので、休日など仕事以外の時間で新たな刺激を取り入れること。
- いざという時のために「転職」という切り札を持っておくこと。
- 健全なメンタルを維持するためには、「自分でコントロールできないもの」は軽く見て、「自分でコントロールできること」に励むこと。
感想
今回「仕事を人生の目的にするな」の要約を読んで、最も印象的だったのは、ソニーの元経営者である平井一夫さんが、仕事よりもプライベートの充実を優先していたという事実です。私の中では「社長」と聞くと、寝る間も惜しんで仕事に打ち込むストイックなイメージがありましたが、平井さんの「家族と過ごしたり、旅行を楽しんだり、好きな車を買ったり」といったプライベートを大切にする姿勢は、とても人間的で意外な発見でした。
特に「仕事は絵の具の一色にすぎない」という例えは、まさに目から鱗が落ちる思いでした。仕事が人生のすべてだと思い込んでいた時期もありましたが、この言葉を聞くと、もっと人生には多様な「色」を塗るべきだと、視野が広がった気がします。
また、「自分でコントロールできないものを軽く見る」という考え方は、現代を生きる上で非常に大切なメンタルケアの方法だと感じました。SNSなどで他人の成功や不幸が目に入りやすい今だからこそ、自分自身がコントロールできることに集中し、無駄な悩みを手放す勇気を持つことの重要性を改めて認識しました。
この本は、多様な生き方が存在する現代において、私たち一人ひとりが「自分軸」を見つけ、後悔の少ない人生を送るための具体的なヒントを与えてくれる、非常に実践的な一冊だと感じました。