本要約

【簡易まとめ】「自分の変え方 認知科学コーチングで新しい自分に会いに行く」要約と感想

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今回は、株式会社ミズカラの代表取締役である村岡大樹さんの著書「自分の変え方 認知科学コーチングで新しい自分に会いに行く」について解説していきます。この本は、一言で言うと「自分を変える方法」を教えてくれる一冊です。

「今の自分を変えたい!」「もっと充実した人生を送りたい!」そう思っている方は多いのではないでしょうか?実は、日本は経済的に豊かであるにもかかわらず、世界幸福度調査では51位、自殺率は世界で4番目という現状があります。著者はその理由の一つに、「今の自分の仕事や生き方に充実感を感じられていない人が増えているからではないか」と指摘しています。

一方で、これまで5000名以上の人々と関わってきた著者は、生き生きとしている人たちは皆、「自分がどう生きれば幸せになれるかをちゃんと知っていて、その通りに生きている人たちばかりだった」と語っています。

もしあなたが今の状態に不満があり、新しいことに挑戦したいけれど、なかなか一歩が踏み出せないと感じているなら、この本で紹介されている「認知科学コーチング」が大きなヒントになるはずです。

「コーチングって、ちょっと怪しいイメージが…?」そう思う方もいるかもしれませんね。ですが、ここで紹介されている認知科学は、「脳と心の仕組みをベースにした科学的なアプローチ方法」なので、根拠のないスピリチュアル系の話とは一線を画しています。

今日の記事を読めば、きっと「自分を変える方法」が見えてくるはずですよ!

なぜ私たちは「変わりたくても変われない」のか?

まず、私たちが自分を変えたくても、なかなか変えることができない理由から説明していきます。

変化を恐れる「ホメオスタシス」の力

人間には「変わりたくない」という強い本能が備わっています。この本能のことを「ホメオスタシス」と言います。

ホメオスタシスとは、「環境が変わっても体内の状態を一定に保とうとする仕組み」のこと。例えば、サウナの中にいても水風呂に入っていても、私たちの体温が約36℃前後をキープしたり、血糖値や血圧が変化しても元の状態に戻ろうとする機能です。

そして、このホメオスタシスは、私たちの意思決定や選択にも大きな影響を与えています。私たちは無意識のうちに、いつも同じ朝食を食べたり、行きつけの美容室に通ったり、慣れた場所に住み続けたりと、同じ選択を繰り返していることに気づきます。

この自分が慣れ親しんでいる安全な領域を、心理学では「コンフォートゾーン」と呼びます。だから、「今日からジムで体を鍛えるぞ!」「毎日読書するぞ!」と意気込んでも、ホメオスタシスが働いて、結局いつものように家でゲームをしたり、ベッドでスマホをいじったりする状態に引き戻されてしまうのです。

なぜ人はこんなに現状維持をしたがるのでしょうか?それは、狩猟採集時代に由来します。新しいことに挑戦して命を危険にさらすくらいなら、変化を避けて同じ生活を繰り返す方が生き残る確率が高かったからです。その機能が、今も私たちの中に色濃く残っているのですね。

現代は原始時代とは違い、変化しても命を落とすことはありません。むしろ成長するためには新しいことに挑戦した方が良いのですが、このホメオスタシスが強力すぎて、ほとんどの人は変化したくてもできない状況に陥っています。私たちが大きく変わる時というのは、リストラや転勤、結婚や離婚、災害のように「外部から変化を強制される時くらい」だと言えるでしょう。

意思決定の「95%」は無意識で行われている

私たちがホメオスタシスによって変化を怖がり、結局いつもの状態に戻ってしまうのは、私たちの意思決定のほとんどが無意識で行われているからです。

ハーバード大学ビジネススクールの名誉教授ジェラルド・ザルトマン博士によると、私たちの意思決定の95%は無意識で行われていて、意識しているのはたった5%しかないとのこと。「転職したいけど怖いからやめる」「筋トレを始めたけどやっぱりやめる」といった選択も、実は無意識のうちに行われているのです。

例えば、朝にコーヒーを飲むか紅茶を飲むか、足を組み直すか、店で商品を手に取るかといった些細な判断も、意識に上がる前に自動で処理されていると言います。これは、人間が1日に約9000回もの決断をしていると言われる中で、その全てをいちいち意識して考えていたら脳がパンクしてしまうため、無意識で自動処理しているのです。

ここで重要なのは、「5%の有意識でどんなに強く願っても、95%の無意識が『今のままでいいや』と思っていたら、結局元の生活に引き戻される選択をしてしまう」という点です。

成功している人たちは、みんな無意識で成功できる選択や行動が取れる人たち。逆に、うまくいかない人たちは、無意識で失敗する行動(例えば、宝くじを買ったり、後払いをしたり、見栄を張るために散財したり)を選んでしまう傾向があると言います。しかも、厄介なことに無意識だから本人は全く気がついていないことが多いのです。

無意識は「先天的」と「後天的」な2つの要素でできている

人によって無意識の選択に差が出るのは、この無意識が「先天的」なものと「後天的」に生み出されたものの2つでできているからです。

  1. 先天的無意識
    生まれつき持っている気質や性格、明るさ、勤勉さ、やり抜く力などです。生まれつき行動的な人や消極的な人がいるのは、この先天的な違いによるものです。
  2. 後天的無意識
    0歳から21歳までに、環境や人間関係を通して身につけた「思い込み」や「信じていること」です。例えば、親から褒められず欠点ばかり指摘された子供は「自分はダメだ」と信じるようになります。人前で笑われた経験がある人は「自分は人前に出ない方がいい」と思い込むようになるでしょう。
    アインシュタインも「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションである」と言っているほどです。私たちの大人になってからの選択や行動は、生まれ持った無意識と、この0歳から21歳までに身につけた思い込みや信じていることをベースにしています。だからもし今の自分を変えたいのなら、自分の人生を作っている無意識を理解することが大事なのです。無意識が変われば、選択や行動も変わり、結果として人生を変えることができます。

では、この後天的な無意識は書き換えられるのでしょうか?
答えは「時間はかかるけど変えられる」です。例えば、「家に入る時は靴を脱ぐ」という思い込みも、アメリカで2~3年生活すれば、「室内で靴を履くのが普通」だと感じるようになるはずです。このように、後天的に作られた無意識は、時間をかければ書き換えることができるのです。

認知科学コーチングで自分を変える「4つのステップ」

それでは、具体的な自分を変える方法を4つのステップに分けて説明していきます。

ステップ1:今のままで生きていくのか、生き方の外側に行くのか「決める」

当たり前ですが、自分を変えるには、苦しいことやきついことを乗り越えなければならない場面がたくさんあります。それは、まるで一人でアメリカに引っ越したり、誰かに声をかけたりするような、不安な気持ちを伴うものです。

もし「今のままでいいや」「ぼちぼちでいい」と思うのなら、ここでやめてもOKです。これは誰かに強制されるものではなく、自分で「変える」と決めることが最初のステップになります。

ステップ2:「自己理解」で無意識の行動を意識化する

次に、無意識にやっている自分の「癖」を意識していきます。例えば、「無意識に異性を避けてしまう」「人前に出るのを避けてしまう」「お金を使いすぎてしまう」などです。そもそも無意識は「気づかれていないからこそ力を持っている」ので、直したいのであれば、それを意識する必要があるのです。

著者は、「自分の無意識の行動や選択を理解することこそが、本当の自己理解だ」と語っています。

ここで、次の3つを必ずはっきりさせる必要があります 。

  1. 自分が無意識に避けてしまうこと
  2. 誰かに止められてもついついやってしまうこと
  3. これをすればうまくいったという経験

これらを考える際は、頭で考えるのではなく、「すでにやっている自分の行動を振り返って」考えてみてください 。なぜなら、95%の選択や行動は無意識で決めているため、「自分が本当に好きなことはすでにやっているし、本当に避けたいと思っていることはすでに逃げているはず」だからです 。例えば、腕時計が好きなら無意識に腕時計のサイトを見ているはずですし、結婚したいのなら婚活のサイトを気づいたら見ている、といった具合です 。

ステップ3:変わらないと絶対にたどり着けない「ゴールを設定」する

自己理解で得た内容をもとに、「今の自分が変わらないと絶対にたどり着けないゴール」を設定します 。高い目標に挑戦するからこそ、自分の殻を破って変わることができるのです 。

具体的には、例えば「1日に50万再生を目指す」「海外でチャンネルを展開して登録者100万人を目指す」「グッズを1万個販売する」といったイメージです 。

繰り返しになりますが、「今の自分がついやってしまっていることに紐付けたゴールを設定してはダメ」です 。今の自分がやっていないのに、いきなり「宇宙飛行士になりたい」と言っても、無理なものは無理だからです 。

そして、「達成できるかどうかは気にしなくていい」というのもポイントです 。達成できるかどうかを気にしすぎると、今の生き方の外側にゴールを設定することができなくなってしまうからです 。

ただし、絶対に外してはいけないのが、そのゴールに「臨場感」を持てること 。臨場感とは、「実際にその場にいるかのようにリアルに感じられる」という意味です 。つまり、自分がそのゴールを達成しているところをリアルにイメージできるということです 。

最初はうまくイメージできなくて当然です。だから、ぼんやりでいいから「こうなったらいいな」「こんな自分だったらワクワクするな」という理想像を思い描くことから始めましょう 。人は、自分がイメージできないことを行動に移そうとしないし、叶えようとはしないからです 。

ソフトバンクの孫正義さんの例を見てみましょう 。開業当初、みかん箱の上に乗って数人の社員を前に「これから我が社は豆腐屋のように売上を1丁2丁と数えられるようになる」と語ったそうです 。この話を聞いて辞めてしまった社員もいたそうですが、注目すべきは、孫さんが「みかん箱に乗っている今」と「売上数兆円企業のトップになる未来」のどちらに強い臨場感を抱いていたかという点です 。おそらく孫さんは、自分が成功している未来に強い臨場感を抱いていて、その未来が「コンフォートゾーン」になっていたのでしょう 。だから、みかんに乗っている状態は彼にとって違和感のある状態だったはずです 。

筋トレを熱心にする人たちも同じです 。彼らはまず最初に、ムキムキになっている自分をぼんやりと想像してワクワクしていたはずです 。そして、すでにムキムキな自分になったつもりで行動を続けるうちに、筋トレをするのが普通の状態、つまりコンフォートゾーンになっていきます 。周りから「すごいね」と言われても、本人にとってはそれが当たり前のことになり、逆に昔の筋トレをしていなかった自分の方に違和感を覚えるようになるのです 。

ステップ4:何を立ち、何を始めるのかを「決断し行動」する

最後に、ステップ3で設定したゴールを達成するために「やるべきこと」や「やらない方がいいこと」を把握し、それをいつから始めるかを決めてカレンダーに予定をぶち込みます 。

例えば、「5月21日から転職活動を始める」「今の会社を辞める決断をする」「婚活サービスに登録する」といった感じです 。そして、その日になったら、泣いても笑っても行動するのです 。

「怖いな…」と感じるのは当然です 。これはある意味、田舎の高校生が大学進学で上京して一人暮らしを始めるようなものです 。ホメオスタシスが働いて「実家にいたい」「地元最高」「帰りたい」と心の中で強く思うはずです 。

これまで自分の理想がぼんやりと分かっていながら行動に移せなかったのには、0歳から21歳までに身につけた思い込みが邪魔していることも多いです 。例えば「本当は自分のビジネスを始めたいけど会社を辞めるのが怖い」「結婚したいけどお見合い写真を撮られるのが恥ずかしい」「人と会って傷つきたくない」「挑戦して恥をかくのが怖い」など、誰にでも行動できない理由があるものです 。

しかし、どんなに怖くても、自分の目指す方向へ一歩踏み出すことでしか人生は変えられません 。正直、実際に行動できる人はほんの一握りでしょう 。だからこそ、コーチのような存在が重要になります 。「〇月〇日にこれをやります」と誰かに宣言した以上、やらなければ格好がつかないからですね 。人の目があると、自分を律することができます 。

もちろん、宣言したからといって能力が上がるわけでもありませんし、挑戦すれば失敗することだって当然あります 。転べば痛いですし、後悔することもあるでしょう 。

ですが、もし本気で今の自分や人生を変えたいと願うなら、声が震えても、足がすくんでも、決断して最初の一歩を踏み出すしかないのです 。

行動の先にある「新しい自分」と「適応する脳」

さて、勇気を出してゴールに向かって新しい挑戦や行動を1歩ずつ続けていくと、最初は戸惑うかもしれません 。ですが、だんだんとその状況に慣れてきます 。そしてそれが、新しいコンフォートゾーン、つまり「心地よいと感じる当たり前の状態」になるのです 。

分かりやすい例で言うと、最初は一人暮らしがすごく嫌だったとしても、2~3年も続ければすっかり慣れて、むしろ一人でいる方が快適になるでしょう 。実家で親と暮らすなんて考えられない、と感じるようになるかもしれません 。

このように、新しい行動を続けることで、「これが普通の状態なんだ」と無意識レベルで脳が学習し、新しい行動や生き方が心地よく感じられるようになるのです 。これは、仕事、海外生活、早起き、筋トレ、婚活、どんなことにも当てはまります 。

この時、「自分の普通」や「無意識」も書き変わり、まさに「変化」が起こるのです 。

この本の最後に、こう書かれています。

「自分を変える勇気さえあれば、あなたはどこまででも行けます」


まとめ

今回の内容を簡潔にまとめます。

  • なぜ人は変われないのか?
    • 人間の本能である「ホメオスタシス(現状を保とうとする力)」が働くから 。
    • 私たちの意思決定の95%は無意識で行われており、無意識が現状維持を選んでしまうから 。
  • 自分を変える4つのステップ
    1. 「決める」: 今のままでいいのか、それとも生き方の外側に行くのか、自分で決断する 。
    2. 「自己理解」: 自分が無意識にやっている行動を見つめ直す。特に、「無意識に避けてしまうこと」「ついついやってしまうこと」「これをすればうまくいったこと」の3つを把握する 。
    3. 「ゴールを設定する」: 自己理解をもとに、今の延長線上では達成できない高いゴールを設定する。そのゴールを達成した自分をリアルにイメージし、ワクワクすることが大切 。
    4. 「行動する」: ゴール達成のために「何を立ち、何を始めるのか」を決め、日を設定してカレンダーに記入し、怖くても行動に移す
  • 行動の先にある変化
    • 最初は苦しく、違和感だらけでも、行動を続けることで脳が新しい環境に適応し、そこを居心地のいい場所だと感じるようになる 。
    • この時、自分の「普通」や「無意識」が書き変わり、真の変化が起こる

感想

この本を読んで、まず「人はなぜ変われないのか」という根本的な疑問に対する、科学的で納得のいく説明に深く感銘を受けました。ホメオスタシスや、意思決定の95%が無意識で行われているという事実は、まさに目から鱗で、これまで自分が変化を阻まれてきた理由が明確になった気がします。漠然とした「変わりたい」という願望だけでなく、「脳と心の仕組み」を理解することの重要性がよく分かりました。

特に印象的だったのは、「後天的な無意識は書き換えられる」という部分です。過去の経験によって形成された「思い込み」が、現在の行動や選択にどれほど影響を与えているかを具体例で示してくれたので、自分の過去を振り返り、「なるほど、だから自分はこうだったのか!」と腑に落ちる瞬間が何度もありました。そして、「変えられる」という希望が持てるのは、非常に勇気づけられます。

また、自分を変えるための4つのステップが、非常に具体的で実践的に示されている点も素晴らしいと感じました。「自己理解」のフェーズで、「すでにやっている行動を振り返る」というアプローチは、無意識の行動を炙り出す上で非常に有効だと感じましたし、「ゴールに臨場感を持つ」という考え方は、夢や目標を単なる願望で終わらせないための強力なツールだと感じました。

「行動に移すこと」の難しさ、怖さも正直に語られており、無理にポジティブさを押し付けない姿勢も信頼できました。それでも、「一歩踏み出すしかない」という著者の力強いメッセージは、読者の背中を優しく、しかし確実に押してくれるはずです。

この本は、単なる精神論ではなく、科学的な根拠に基づきながら、私たちがより充実した人生を送るための具体的なロードマップを示してくれています。自分を変えたいと願うすべての人にとって、価値ある一冊だと強く感じました。私も、この本で学んだことを日々の生活に取り入れ、少しずつでも理想の自分へと変化していきたいと改めて思いました。


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