今回は、美容室アースの取締役である山下誠司さんの著書「年収1億円を目指す人の習慣」について、深掘りしていきます。
「年収1億円」と聞くと、特別な才能が必要だと思うかもしれませんが、本書によると「努力で十分到達できる範囲」だそうです。なぜ多くの人が達成できないのかというと、それは「誰でもできる当たり前のことを徹底できていないから」。つまり、億万長者は、私たちが「当たり前」と感じる習慣を徹底しているだけなのです。
さあ、今日からあなたも実践できる、年収1億円に近づくための習慣を一緒に見ていきましょう!
1. 成功への第一歩!「早起き」の驚くべき効果
「年収1億円になりたければ早起きして仕事をするべき」。これは成功者にとって、基本中の基本と言えるでしょう。なぜなら、朝は最もエネルギーが溢れ、フレッシュな頭で思考できる時間だからです。夜には思いつかなかった良いアイデアが浮かんだり、仕事の細かいミスにも気づくことができます。
実際に、カレーライスチェーン「CoCo壱番屋」創業者の宗次徳二さんは365日午前3時55分に起きて4時台に出社し、ナイキの元CEOマーク・パーカーは午前5時、AppleのCEOティム・クックは午前4時半に起床するなど、多くの成功者が早起きを実践しています。著者自身も、新人時代に会社に一番早く出社することにこだわり、午前7時から6時、5時と早まるにつれて、店舗の売上を1位にすることができたそうです。現在では午前2時55分に起床しており、「朝の1時間は昼の4時間分の仕事をこなせる」と語っています。
無理にそこまで早く起きる必要はありませんが、「いつもの2時間前に起きて、何かしら仕事をする時間を作る」ことが大切です。夜更かしをして今まで通りの人生を歩むのか、それともお金持ちになるために早く寝るのかは、あなた次第です。これを毎日続けることが、成功の土台となるでしょう。
2. 仕事を「好き」になる!「最低3年間は休みなく働く」
「最低でも3年間、できれば10年間は休みなく働くこと」。これは一見、ブラック企業のように聞こえるかもしれません。しかし、その目的は「仕事を好きになるため」だと言います。お金持ちの特徴の一つに「仕事が好き」という点があるからです。
著者は、社長から「年収1億円を超えたければ、最低3年間、できれば10年休みなしで働くと達成できる」というアドバイスを受け、騙されたと思って3ヶ月間休まず働いてみたそうです。その結果、不思議なことに「仕事が結構好き」という感情が芽生えたとのこと。さらに3年経つ頃には、仕事と遊びの境界線がなくなり、仕事が大好きになったそうです。
なぜ毎日やると好きになるのか?それは「毎日やっていると小さな成長を感じるから」。日々できなかったことができるようになったり、知らなかったことを知ることで、ゲームのように面白く感じるのです。多くの成功者が「仕事と趣味の境界線がない」と言うのは、このためでしょう。
3. 目標を「見える化」する!「10年後の自分を明確にする」
「10年後にどうなりたいのかをはっきりとさせる」こと。漠然とした目標では、なかなか達成することはできません。人間は、夢を実現するのに必要な行動を忘れてしまうからです。
スーパーマーケットの買い物で買い忘れを防ぐためにメモをするように、叶えたい目標も紙に書き出し、毎日見返すことが重要です。特に、10年後の目標は「数字化」して具体的に書き出すと良いでしょう。例えば、「1年ごとに年齢を書き、達成したい年収、売上、利益、スタッフの数、店舗数などをはっきりと紙に書く」のです。そして、その紙をトイレなど目につく場所に貼り付け、毎日朝晩2回は必ず見るようにします。そうすることで、目標を常に意識し、現在の自分が計画より遅れていることに気づき、行動を変えることができるようになります。
4. 質より「スピード」!「超一流の世界ではフライング以外は全て遅刻」
「仕事は質よりスピードを重視する」。なぜなら「超一流の仕事の世界ではフライング以外は全て遅刻と見なされるから」です。つまり、依頼された企画書などを通常の納期で提出していたら、それは遅いということになります。
依頼されて数時間後に提出された企画書には、提出者の「本気度と情熱」を感じますよね。それだけで「すごいな」と思わせることができます。しかし、提出が普通だったり、納期ギリギリだったりすれば、その他大勢になってしまいます。
経験が浅い新人のうちは仕事が遅いのは仕方ないとしても、「スタートが遅いのはシンプルに努力不足」だと著者は指摘します。仕事の遅さは能力の問題ですが、スタートの遅さは姿勢の問題だからです。まるでマリオカートのように、「とにかくスタートダッシュするべき」なのです。考えるのは後で良い。「やれるかどうかを判断してから行動しようとすると、スピード感が損なわれるし、結局やらないという結論になることも多い」。まずは行動することで多くのことが見え、それから初めて正しく考えることができるのです。
5. 時間は命!「会社まで30分以内で通勤できる場所に住む」
「会社まで30分以内で通勤できる場所に住む」。これは、「通勤時間が無駄だから」という非常にシンプルな理由です。著者の経験では、片道1時間30分かかる場所に住んでいたため、往復で3時間もの通勤時間を費やしていました。もし20歳から60歳まで毎日3時間を通勤に費やすと、それは実に43,800時間、つまり「5年分」もの時間を無駄にすることになります。
著者はこの無駄に気づき、すぐに翌月には美容室から徒歩7、8分の場所に引っ越しました。家賃は月3万円上がりましたが、それによって時間の使い方が劇的に変わったそうです。早く出社できるようになり、仕事後に深夜に飲んでもすぐに帰って眠れるようになりました。何より、「仕事のために引っ越した」ことを知った先輩たちが、本気で向き合ってくれるようになったのです。住む場所を変えるだけで、時間だけでなく、付き合う人まで変わっていったという著者の言葉は重いですね。
通勤時間中に本を読んだり勉強したりすることもできますが、著者は「お金を生むのは情報よりも行動だ」と断言しており、やはり通勤時間は少ない方が良いと考えています。
6. 人との関係を築く基本!「身だしなみと挨拶の徹底」
「身だしなみと挨拶を徹底すれば問題の8割は解消する」。これは「チャンスも運も人が運んでくるものだから」です。
考えてみてください。清潔な服装の人に、笑顔で大きな声で挨拶されて嫌な気分になる人はいないですよね。逆に、挨拶がなかったり、ぼそぼそと小さな声で挨拶されたら、良い気分はしないでしょう。礼儀正しく挨拶ができると人に好かれ、人は自分が好きな人に協力したくなるものです。
職場では、後輩や先輩に関係なく、誰かに会ったら「相手より真っ先に挨拶をする」のがポイントです。挨拶は「先手必勝」なのです。
また、「清潔な身だしなみ」も非常に重要です。これは「相手を不快にさせないもの」を指します。著者の美容室では、極端に薄い眉や日焼け、金髪などをやめて清潔感のある見た目にするように指導したところ、クレームが減り、大きく業績が回復したそうです。服や言葉は「相手のために使う」という意識が大切なのですね。
7. 成功者からの引き上げ!「上の人から誘われたら絶対に断らない」
「上の人から誘われたら絶対に断らないこと」。成功するには、「上の人に引き上げてもらうことが重要」だからです。ここで言う「上の人」とは、自分が尊敬する人や、自分が尊敬する人が尊敬する人、例えば上司や社長、取引先の経営者などを指します。こうした自分より上の人たちに引き上げてもらったり、アドバイスをもらったり、可愛がってもらうことが成功のために非常に重要だと本書は説きます。
お笑い芸人で例えるなら、松本人志さんに誘われたら断ってはいけないイメージだそうです。著者は実際に、新潟出張中に東京にいる上の人からの電話に誘われ、3時間後に駆けつけたことがあるとのこと。もし一度断ってしまうと、もう二度と誘ってもらえなくなる可能性が高く、たとえ誘われたとしても数年後になることも多いそうです。チャンスの流星群は滅多にないからこそ、一度の誘いを逃さないことが大切なのです。
8. 生産性の鬼!「年収1億円以上の人はタバコを吸わない」
「年収1億円以上の人はタバコを吸わない」。これは、「お金持ちは生産性がないことをやりたくないから」に他なりません。
タバコは健康、お金、時間の3つを無駄にするものです。様々な病気の原因になるだけでなく、お金が無駄にかかりますし、1本10分かかるとすればその時間も無駄です。さらに、喫煙者は結婚相手にも選ばれにくくなるという現実もあります。
2014年の厚生労働省の調査によると、所得が低い人ほど喫煙率が高く、所得が高い人ほど喫煙率が低いことが分かっています。ホテルや宿泊施設で有名な星野リゾートでは、喫煙者は採用しないと明言しているほどです。生産性のないことに時間を費やすことは、ビジネスで将来性のない事業に投資し続けるようなもの。仕事ができない人に喫煙者が多いという厳しい指摘もあります。
9. 限界を超える!「仕事を自分でやるのではなく人に任せる」
最後に、「仕事を自分でやるのではなく人に任せる」こと。なぜなら、「自分1人でやれることには限界があるから」です。
著者は、新人時代に早朝から練習を重ね、26歳で年収1000万円の人気美容師になったものの、その後は頭打ちになってしまったそうです。これは、美容師1人が1日にカットできる人数には限りがあるためです。その限界を超えるためには、自分でやるのではなく「人に動いてもらうこと」が重要になります。つまり、「プレイヤーからプロデューサーへ」と立ち位置を変える必要があるのです。著者は、任せられる仕事を人に任せることで、年収1億円を超えたと語っています。
まだ経営者でなくても、まずは「早起きして思いっきり働き、プレイヤーとしての能力や技術を磨く」ことが大切です。そして、一目置かれる存在になり、部下ができたら、少しずつ仕事を任せる練習をすると良いでしょう。「自分じゃないといけない大事な仕事だけを自分がやり、自分じゃなくてもいいことは極力人にやってもらう」。こうしてうまく人を動かせるようになると、自分一人では到達できない高みに辿り着けるのです。
まとめ
年収1億円を目指すための習慣は、特別なことではなく、誰でもできる当たり前のことの徹底でした。
- 早起きを徹底すること。これが成功の土台です。
- 仕事を心から好きになるため、最低でも3年間、できれば10年間は休みなく働く時期を持つこと。
- 10年後の目標を明確に数値化し、紙に書いて毎日見返すこと。
- 仕事は質よりスピードを重視し、とにかく早く行動に移すこと。
- 通勤時間を減らすため、会社まで30分以内で通勤できる場所に住むこと。
- 身だしなみと挨拶を徹底し、人との信頼関係を築くこと。
- 上の人からの誘いは絶対に断らず、引き上げてもらうこと。
- 生産性のないタバコは吸わないこと。
- そして、自分の限界を超えるために、仕事を人に任せること。
特に早起きは、多くの成功者が実践している基本中の基本なので、まずはここから挑戦してみるのが良いかもしれません。
感想
この「年収1億円を目指す人の習慣」を読んで、成功への道筋が非常に具体的かつ実践的に示されていることに感銘を受けました。特に、「年収1億円は努力で十分到達できる範囲」という言葉は、多くの人に希望を与えるメッセージだと感じます。成功というと、何か特別な能力やコネクションが必要だと考えてしまいがちですが、本書はそれを否定し、地道な努力と習慣化こそが鍵であると教えてくれます。
また、「誰でもできる当たり前のことを徹底できていないから」という指摘は、耳が痛いと同時に、納得感がありました。早起きや身だしなみ、挨拶といった日々の小さな習慣が、長期的に見れば計り知れない影響を与えるという洞察は非常に深く、すぐにでも実践したくなるものです。特に通勤時間の話は、日々の無意識に費やしている時間の価値を再認識させられました。
タバコを吸わないことや上の人からの誘いを断らないといった具体的なアドバイスも、生産性や人間関係という成功に不可欠な要素をシンプルに言語化しており、ハッとさせられます。そして、最終的に「人に任せる」というステップに進むことで、個人の限界を超えてビジネスを拡大していくという視点は、ビジネスパーソンにとって非常に重要な示唆を与えてくれるでしょう。
この本は、単なるハウツー本ではなく、成功者の「哲学」や「考え方」が凝縮されているように感じます。一つ一つの習慣が、いかに本質的であり、互いに繋がり合って大きな成果を生み出すのかがよく理解できました。私もこの本で得た学びを、日々の生活や仕事に積極的に取り入れていきたいと強く思いました。