本要約

【簡易まとめ】「人生の経営戦略」要約と感想

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思い通りにならない人生を「攻略」するヒントとは?

今回は経営コンサルタントである山口周さんの著書『人生の経営戦略』について、その内容を詳しく解説していきたいと思います。この本は、一言で言えば「思い通りにならない人生をどうにかしてうまくいかせる方法」を教えてくれる一冊です。

かつての高度経済成長期とは異なり、現代の日本は「一生懸命働いていればみんな賃金が上がり、車を買って家を持ち、結婚できる」という時代ではありません。実際、日本のGDP成長率は鈍化し、伸びている業界とそうでない業界との成長格差が非常に大きくなっています。このため、儲かっている会社に勤めれば年収1000万円に届く可能性がある一方で、儲かっていない会社に就職してしまうと年収300万円以下になることも十分にあり得るのです。

このような時代に、「置かれた場所で咲きましょう」とか「石の上にも3年」といった考えを盲信するのでは危険だと著者は指摘します。事実、ひどい会社にしがみついた結果、35歳で手取り17万円、有給はまともに取れず、休日も仕事の電話が鳴りっぱなしで、最終的に体やメンタルを壊してしまう人も少なくないとのこと。

嫌いな仕事をして大した収入もなく、人間関係も希薄な「すっからかん」の状態にならないためにも、この難しい時代を生き抜く術を学ぶことが本書の目的です。特にこれから社会に出る人にとっては、非常に参考になる内容が多いでしょう。

人生の最終目標は「いつも幸せな状態」であること

会社もマラソンも人生も、目標がはっきりしていないと、どの方向に進めばいいのか分からなくなってしまいます。著者は目標設定の重要性を強調しており、もし偽りの目標を設定してしまうと、どれだけ優れた戦略を立てても最終的には破綻すると述べています。また、目標から逆算することで、今やるべきことも明確になりますよね。

では、この本で提唱している人生の最終目標とは何でしょうか?それは、「いつも幸せな状態を築き上げ、いつ余命宣告されても自分らしい良い人生だったと思えるような人生を送ること」です。

ポイントは、「いつか」ではなく「いつも」である点。なぜなら、私たちは「いつ死ぬか分からない」からです。将来のために今は我慢すると考えて生きてきたのに、いざ老後になったら老眼や体力の低下でやりたいことも満足にできず、体調が悪くて病院通いの日々を送り、医療費にお金を費やし、全然やりたいことができないまま人生を終えてしまう人は驚くほど多いと指摘されています。もちろん、癌や事故などで急に亡くなってしまうことも十分にあり得る話です。ニュースキャスターの小倉智昭さんが亡くなる前に「老後にやろうと思っても老後になるとできないことがあまりにも多すぎる。だから若いうちにやれ」と仰っていたというエピソードも紹介されていますが、まさにその通りですよね。急に明日事故や脳梗塞で亡くなるとしても、「自分らしい良い人生だった」と思えるような人生を送るべきだというのです。

「いつも幸せな状態」はかなり難易度が高いように感じられますが、そこをどう実現するのかを考えていくのが本書の目的になります。

「いつも幸せな状態=ウェルビーイング」を実現する3つの要素

著者は、幸福に関する多くの研究や論文を分析した結果、「いつも幸せな状態」(本書では「ウェルビーイング」と表現)を維持するためには、3つの要素が大事になると提唱しています。

それが、1. 自己効力感、2. 社会的繋がり、3. 経済的安定性です。

  1. 自己効力感: これは「自分には能力があり、それを生かして誰かの役に立っている」という感覚のこと。仕事や料理、ゲーム、スポーツなど、自分がやったことに対して周りの人が喜んでくれると気持ちがいいですよね。これが人が常に幸せでいるために必要な感覚なのです。 だからこそ、仕事をせずに一日中映画やアニメ、ゲームをしていると、なんとなく虚しさや罪悪感を覚える人もいるはず。それは、「自分が誰かの役に立っている」という感覚が得られないから。逆に、ゲームを配信して多くの人を楽しませている場合は、一日中ゲームをしていても虚しい気持ちにはなりづらいでしょう。人はいつも「誰かの役に立てる自分」でいたいものなのです。
  2. 社会的繋がり: これは、職場の人や知人、友人、家族など、人と良好な人間関係を築けているという感覚のこと。実際に、幸せに最も大きな影響を与えるのは人間関係だと言われています。職場の人間関係が良好だと気持ちよく働けますし、仲が良い友達と食事をするのはお金では買えない価値があります。逆に人間関係が悪いと仕事もしづらく、孤独だと痛みに敏感になったり、病気になりやすくなるとのこと。
  3. 経済的安定性: これは、経済的に安定していて、多少のことがあっても生活を維持していくのに不安がないという感覚。平たく言えば、病気や事故、失業、会社が倒産してしまったとしても、株や貯金、不動産などの金融資産をたくさん持っていれば、「まあなんとかなる」と思える状態のこと。その金融資産に裏打ちされた心の余裕が経済的安定性であり、これも「いつも幸せでいる」ために大事な要素なのです。お金がないといざという時にどうしようもなくなりますからね。

この3つの資本が、いつも幸せでいるために不可欠だということを覚えておきましょう。

人生は「時間を別の資本に変えるゲーム」

私たちは、前述の3つの資本(自己効力感、社会的繋がり、経済的安定性)を全て手に入れたいと願っていますが、この世界はトレードオフでできています。何かが欲しいのなら、自分の持っている何かを差し出さなければならない。それが「時間」です。

例えば、仕事に時間を使えば、仕事の知識や能力が上がり、多くの人の役に立つことができるようになります。友達や恋人、結婚相手との関係に時間を使えば、人間関係が豊かになります。そして、株や不動産などを買い、時間をかけて増やしていけば経済的な安定が得られます。

つまり、自分の欲しいものを意識して、そのために「何に時間を使うのか」を考えることが大事なのですね。私たちは誰もが自分という人生の経営者なので、会社がお金をどう使うのかを真剣に考えるように、私たちも自分の持っている時間をどう使うのかを真剣に考えることがとても大事になります。

著者は、時間の使い方には「筋のいいもの」と「筋の悪いもの」が存在すると言っています。筋のいい選択をして時間を筋のいい仕事や筋のいい学習に使っていけば、この3つの資本を手に入れやすくなります。しかし、筋の悪い仕事や学習に時間を使ってしまうと、10年20年経っても何も手に入らないということになりかねません。冒頭で触れた「35歳で手取り17万円、有給はまともに取れず休日も仕事の電話が鳴りっぱなし」という状況は、まさに筋の悪い時間の使い方をしてしまった結果だと言えるでしょう。

だからこそ、私たちは自分の持っている「時間」という資源を、「本当にこの会社、この仕事、この人、今やっていることに使っていいのか?」「その結果、自分の望む資本が得られるのか?」を常に考えることが大切なのです。

最初に手に入れるべきは「人的資本」から

「いつも幸せでいる」ためには3つの資本が必要ですが、1日は24時間しかありません。そのため、優先順位をつけて一つずつ確実に手に入れていくのが良いと本書は示唆します。

最初に優先して時間を使って獲得すべきなのが、「人的資本」、つまり「仕事のスキルや知識、経験を積み重ねて自分の能力を高めていくこと」です。

なぜ人的資本が最初なのでしょうか?それは、仕事の能力が高ければ自然と人が集まってきて人脈も広がり、周りからの信頼も得られるからです。ゲームでも、うまい人は同じくうまい人と友達になって一緒にパーティを組んで良い結果を出そうとしますよね。音楽でも、うまい人はうまい人とバンドを組んで結果を出そうとするでしょう。同じように、仕事もできる人はできる人と組んで結果を出している場合が多いのです。

このように仕事の能力を伸ばせば、人から誘ってもらうことが増えて人脈が広がり、さらに結果が出せるようになって賃金が上がり、最終的に株や不動産も手に入れやすくなる、というように全てが繋がっています。だから、まず仕事の能力や知識を上げることから始めて、それができたら人間関係を広げ、そして最後に金融資本を獲得していくのが「筋のいいやり方」なのです。

逆に、仕事の能力が低い状態で人脈を築くのは難しいでしょうし、収入が低ければデートや結婚だけでなく、株や不動産を購入する余裕も生まれません。著者の山口周さん自身も、若い頃に「先輩の人脈が大事」という言葉に踊らされて異業種交流会によく行っていたそうですが、何の実績もない状態では何も起こらず、「夢みたいなことを考えていないでとにかく一歩一歩進むしかない」という当たり前のことに気づかされたと言います。大人になると、みんな忙しいので、コストパフォーマンスが悪く付き合うメリットのなさそうな人とは関わらなくなるものなのです。

ちなみに、この人的資本には、仕事のスキルアップだけでなく、ギターやサーフィン、ゲーム、カメラ、ワイン、旅行などの「趣味」も入ると書かれています。趣味は直接的に幸福度に影響を与える要素なので、仕事だけでなく趣味にも時間を使っておいた方が良いとのことです。

「楽しめて長く続けられる仕事」を選ぶ重要性

他の人にはできないような抜きん出た仕事のスキルというのは、一朝一夕で身につくものではなく、長い時間をかけて培われるもの。だからこそ、楽しめて長く続けられる仕事を選ぶことが重要になります。

中国の思想家である孔子は、「ある物事を知っているだけの人はそれが好きな人には叶わない。好きなだけの人はそれを楽しんでいる人には叶わない」と言っています。つまり、「努力している人は楽しんでいる人には勝てない」ということです。

私たちはよく「辛いことでも頑張らねば」「石の上にも三年」「嫌なことでも続けねば」と考えて努力しようとしますよね。しかし孔子に言わせれば、その先に待っているのは「敗北」。本当に抜きん出たスキルを身につけるためには、楽しめて長く続けられる仕事でなければならないのです。

そもそも、私たちの人生の目標は「いつかではなくいつも幸せでいること」でした。毎日仕事が辛くて、やりたくない、しんどい、行きたくない、という時点でもうすでに目標は達成不可能になります。それに、嫌な仕事を続けていると、ストレスを発散するために暴飲暴食したり、お酒をたらふく飲んだり、人にきつく当たったり、散財しないとやっていられなくなる傾向があります。そうなると結果的に人間関係が悪くなるし、株を買う余裕も生まれなくなるという、まさに「いいことなし」の状態。嫌いでしかも大して稼げない仕事を続けるのは、毎日じわじわと底なしの泥沼に沈んでいくようなものだと著者は例えています。

もし今の仕事が本当に嫌で、ずっと続けていく自信がないのなら、それは時間の無駄なので、30〜40代になる前にさっさと別の道を模索した方がいいでしょう。もちろん40代や50代で無限地獄のような労働に耐えるというのもありですが、個人的にはあまりお勧めはできないとのこと。

人それぞれ楽しいと感じることは大きく違うので、まずは自分が楽しめることが何かを知り、それを仕事にできないか模索してみることが大事になります。意外とゲームが大好きでも、毎日やっていると楽しめなくなることもあるそうなので、見極めも必要ですね。

「いくつかの要素を組み合わせて自分をレアな存在に見せかける」

「自分が楽しいと思えることはあるけど、それでは食べていけない」と感じる人もいるかもしれません。例えば、漫画を描くのが楽しい、ゲームが楽しい、でもそれだけでは食べていけない、という感覚ですね。楽しいことだけやって生きていけるのは、選ばれし才能を持った一部の人たちだけだと思う人も多いでしょう。

しかし、著者はそれは「ちょっと安直すぎる」と指摘します。米津玄師さんや藤井聡太さん、大谷翔平さんのような「天才」しか楽しいことを仕事にできないのなら、この世界にはあまりにも天才が多すぎることになります。食べていけている漫画家やミュージシャンが全員天才だとしたら、この世界に一体どれだけ天才がいるんだ、という話ですよね。

では、自分が楽しいと思うことを仕事にするには、どのような工夫が必要なのでしょうか?それは、「すでに今ある要素を組み合わせて自分をレアな存在に見せかける」ことなのです。

そもそも、この世の中の「価値」は何によって決まると思いますか?使えるかどうか?いいえ、金の塊は何の役にも立ちません。価値は「需要と供給」で決まります。みんなが欲しいけどたくさん存在するものは価値が低くなり、希少なものは価値が高くなる。ロレックスが欲しい人が多いけど数が少ないから価値が上がっているのと同じです。ブランド品があえて数を制限することで価値を持たせているものが多いのも、この原理ですね。

私たちも労働市場では「人材」という商品になります。自分を高値で売るためには、ロレックスのように「欲しい人が多いけど希少な存在」にならないといけないのです。

では、どうやって自分を希少な存在に見せかけたらいいのでしょうか?それは、「すでに今あるいくつかの要素を組み合わせてユニークな存在になればいい」のです。 具体例が挙げられています。

  • バンドであるマキシマムザホルモンは、ハードコアパンクなど様々な音楽の要素を組み合わせた唯一無二の存在。
  • サカナクションも、テクノやロックなどの要素が混ざっています。
  • 陸上選手としてのキャリアと哲学的思考力を組み合わせた為末大さんも、他に替えの効かない存在。

このように、すでに今あるいくつかの要素を組み合わせて自分を唯一無二のユニークな存在に見せかけられれば、競争する必要すらなくなり、自分が楽しいと思うことで食っていくことができるようになります。ちなみに、この方法のことを「ブルーオーシャン戦略」と呼ぶそうです。

何と何を組み合わせればいいか分からない、という人もいるかもしれませんね。そこはもちろん人によるのですが、組み合わせのヒントは「自分がずっと好きでやってきたことの中にあることが多い」と本書は述べています。なぜなら、ずっとやってきたことは多くの時間を使っていることであり、他人が簡単に得られない知識やスキル、感性を獲得していることが多いからです。ある意味、「ギャル」をずっとやってきたのなら、それを何か、例えば農業と組み合わせてみるというのも面白いかもしれない、という例も出てきます。童貞と芸人を組み合わせて売れている人もいますよね、と。

とにかく、自分の持っている様々な要素を他の要素と組み合わせてみるのです。ここでいうユニークというのは、周りの人から見て「面白い」と思えるということですね。

人生には「春夏秋冬」がある

人生も季節のように、それぞれの時期にあった行動や選択があるので、それを意識して動くべきだという話も紹介されています。

  1. 人生の春(0〜30歳前後):キーワードは「試す」 この時期は、失敗を恐れずに色々なことに挑戦するベストなタイミングです。自分が何に向いているのか、苦手なのか、楽しいと感じるのか、興味が持てないのかを知るための時間。何でも試してみて、自分が夢中になれるものを見つけていく「模索の時期」です。若い時はバイトを3日で辞めても許されたりしますよね。
  2. 人生の夏(30〜50歳):キーワードは「集中」 ここでは、面白い、ずっと続けていけると感じた仕事や分野に、自分の時間と労力をレーザーのように一点集中させて、専門性を磨き実力を高めながら、それを軸に人脈を築いていく時期です。だいたいこの時期で、できる人とできない人の仕事の能力にとんでもない差が生まれて、もう追いつくことはできなくなってくるとのこと。
  3. 人生の秋(50〜70歳):キーワードは「広げる」 この時期は、夏に磨き上げてきた仕事の能力や人脈を生かしながら、新しい仕事やプロジェクトを作ったり、後輩に仕事を任せたりしていく時期です。要は、マネージャーや管理職のように、多くの人をまとめてプロジェクトを進めていくイメージですね。
  4. 人生の冬(70歳以降):キーワードは「与える」 ここでは、これまで培ってきた経験や知識を次世代にシェアして、人と人をつなげたり、若い人や後進を育てていく時期だと述べられています。

もちろん、全ての人がこの時期の通りにうまく進んでいくということはないでしょう。ただ、こうした区分を知るだけでも、自分は今どの段階にいて次に何をすれば良いのかが客観視できて、ぐっと視界が開けるはずです。特に、この中でも春と夏はとても重要な時期で、ここでだいたい仕事のキャリアが決まると言ってもいいとのこと。

もし「自分はもう春が終わりかけているのに、これだと思えるような仕事が見つかっていない…」という方がいても、焦る必要はありません。人によって多少のずれはありますし、40歳や50歳で「これだ!」と思えるような仕事に出会う人もいるからです。ただ、できれば30歳前後までにはこれだと思える仕事を一つは見つけておきたいところではある、と著者も釘を刺しています。セミでいうと、みんな土の外で鳴いているのに自分だけまだ土の中で過ごしているようなものだから、と例えられています。

まとめ

山口周さんの『人生の経営戦略』は、現代の不確実な時代を生き抜くための具体的な「戦略コンセプト」を教えてくれます。

  • 人生の目標は「いつか」ではなく「いつも幸せな状態」であること。いつ死ぬかわからないからこそ、今この瞬間を大切にする生き方が重要です。
  • 「いつも幸せな状態」(ウェルビーイング)を実現するためには、「自己効力感」「社会的繋がり」「経済的安定性」という3つの資本が不可欠です。
  • 人生は、自分の「時間」という資源を、これら3つの資本と交換するゲーム。だからこそ、筋のいい時間の使い方をすることが非常に大切になります。
  • 3つの資本の中で最初に手に入れるべきなのは「人的資本」、つまり仕事のスキルや経験、知識です。仕事ができるようになれば、人間関係も広がり、賃金も上がり、結果的に金融資産も手に入れやすくなる、という好循環が生まれます。
  • 仕事の能力を高めるためには、「楽しめて長く続けられる仕事」を選ぶことが何よりも重要です。なぜなら、高い仕事のスキルを身につけるには長い年月が必要であり、「努力する者」は「楽しむ者」には勝てないからです。
  • もし楽しめる仕事が簡単に見つからない場合でも、「天才だけが成功する」と諦める必要はありません。すでに持っているいくつかの要素を組み合わせて自分を「レアな存在」に見せかける工夫をすることで、唯一無二の価値を生み出し、楽しいことで生計を立てる道が開けます。これは「ブルーオーシャン戦略」と呼ばれます。
  • そして、人生には「春夏秋冬」のようにそれぞれの時期に合った行動や選択があることを意識することが大切です。
    • 春(0〜30歳前後):試す時期。失敗を恐れずに様々なことに挑戦し、自分の適性を見極めます。
    • 夏(30〜50歳):集中時期。これだと決めた仕事や分野に全力を注ぎ、プロとしての実力を高め、人脈を築きます。
    • 秋(50〜70歳):広げる時期。培ってきた能力や人脈を生かし、新しいプロジェクトを立ち上げたり、後輩を育成します。
    • 冬(70歳以降):与える時期。経験や知識を次世代にシェアし、後進を育てます。

「我慢して嫌いな仕事をしていれば報われる」という考えは残念ながら通用しません。何をするにも時間を支払っていることを忘れず、その時間と引き換えに自分は何を得られるのかを常に考えることが重要です。また、趣味も人生の幸福度に直結するため、大切にすべきだというアドバイスも心に留めておきたいですね。

感想

今回、この『人生の経営戦略』を読んで、現代を生きる上で非常に実践的で、それでいて本質的な知恵が詰まっていると感じました。特に印象的だったのは、「いつか幸せになる」ではなく「いつも幸せな状態」を目指すという人生の目標設定です。これは、ともすれば未来の成功のために今を犠牲にしがちな私たちの思考に、大きな警鐘を鳴らしてくれているように思います。本当に、いつ何が起こるか分からない中で、常に自分らしい「良い人生」だったと思えるように生きる意識を持つことは、日々の選択を大きく変えるきっかけになるでしょう。

また、「努力する者は楽しむ者に勝てない」という孔子の言葉を引用し、楽しめて長く続けられる仕事を選ぶことの重要性を強調している点も深く頷かされました。苦痛を伴う「努力」では、純粋に「楽しんでいる」人には敵わないというのは、多くの人が経験的に理解できるのではないでしょうか。私自身も、仕事選びやキャリア形成において、いかに「楽しい」という感情を軸にできるか、という視点を改めて見直すきっかけになりました。

さらに、「いくつかの要素を組み合わせて自分をレアな存在に見せかける」という「ブルーオーシャン戦略」は、まさに現代のキャリア戦略の肝だと感じます。単一のスキルを磨くだけでは競争が激しい時代において、自身のユニークな「組み合わせ」で価値を創造するという発想は、個人が生き残るための強力な武器になるはずです。趣味や意外な経験が「人的資本」に含まれるという話も、自分の持つ多様な側面を肯定し、強みとして捉える視点を与えてくれました。

人生の「春夏秋冬」の概念も、非常に分かりやすく、自身の現在地とこれからの行動を客観的に見つめる良いフレームワークになると思いました。特に「春」と「夏」の重要性が強調されており、若い時期に積極的に「試す」こと、そしてその後「集中」して専門性を高めることの重要性を再認識しました。

全体として、漠然とした不安を抱える現代人に、具体的な行動指針と、何よりも「幸せ」を追求するための思考法を提示してくれる、非常に有益な内容だと感じました。

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